栄養療法編


3.サプリメント(体験談あり)

2024年7月3日

本稿を読む前に

現在、栄養療法関係の書籍が多数流通しておりますが、特定栄養素の摂取量については、医師の診断のもとでご決定いただくことを強くお勧めいたします。
一般的に、鉄や脂溶性ビタミン(ビタミンA,D等)の過剰摂取は問題として認識されており、詳細な血液検査にて定期的に管理されるべきものだからです。
また、当方が独自に入手した情報から、相当量を摂取しても問題ないとされている水溶性ビタミン等についても、摂取量、摂取期間、摂取方法について、疑問の余地があると判断しています(なお、これは医学的な公式見解ではありません)。
情報のご利用は全て自己責任でお願いいたします。本稿が原因で読者の健康に何らかの不利益が生じても、当サイトは一切の責任を負いません。

医師処方サプリメントとは

その名の通り、医療機関が効用を確認したうえで患者に進めるサプリメントを指します。製造会社は医学博士などを開発チームに加えて生産していることがほとんどです。市販のサプリメントとの違いは、一般的に、高品質が保証されていること、精製度が高いことが挙げられます。
基本的に保険適用ではないため、費用が高額になる傾向があります。
医療費控除の申請をする際には「医師処方」の記載が必要です。

保険適用薬と医師処方サプリメントの違い

同じジャンルの保険適用薬がある場合、費用面がかなり安価となるのですが、栄養療法の医師は簡単にはそちらを選びません。
特に鉄剤については、鉄の体内排出経路がないため、保険適用の鉄剤を処方しない場合が多いようです。逆に亜鉛剤については、保険適用薬で良いとのことでした。

市販のサプリメントと医師処方サプリメントの違い

沢山の似たような安価な市販品が売られている中で、なぜ、医師処方の高価なサプリメントでなくてはならないのか。
医師やメーカーに言わせれば、精製度や成分の量や添加物をよく見る必要があるから、という回答になります。
例えば、遅効性の乳アレルギーがある場合は、ホエイプロテインは薦められない、という具合です。あるいは、市販品は合成着色料や人工甘味料が入っていることも多く、その点からも薦められないという意見も見られます。
ちなみに、当方が実際に医療機関に確認して、併用してもかまわないと言われた市販品はこちら。→

製造方法の重要性

ほとんどの医師が、サプリメントのメーカーや銘柄を指定する理由をもう少し詳しく書いておきます。
例えば、ある植物から色素を抽出する場合、①水に溶かしたものを自然乾燥させる②お湯に溶かしたものを高温乾燥させる③有機溶剤で溶かしたものをろ過するなどの方法があるとします。抽出された物質は同じ名称がつけて売られるでしょうが、まったく同じものと考えてよいものでしょうか?
この答えは「否」です。①と②では温度が違いますので、特定の温度で物質の一部が壊れたり変質する可能性があります。③は水ではなく、有機溶剤を使用する点が①②と異なります。
これは極端な例ですが、実際は、還元する物質が違ったりするようです。異なる理由は、コストまたは特許であり、実際この色素で衣料品を染めると仮定すると、最高級品は①、高級品は②、中・低級品は③を使用します。
医師や薬剤師でも、このことを良く知っている者であれば、サプリメントに限らず医薬品であるジェネリックの使用にも大変慎重です。ジェネリックは分子式が同じ名だけで、製法が違う事があるからです。(たまに、特許切れ対応のために、ジェネリック扱いになったオリジナルもあるようです)。
過去の薬害事件でも争点となりましたが、異性体を含む不純物混入に関しても慎重を期すべきであり、おのずと医師が処方するサプリメントのメーカーや銘柄は絞られてきます。

高容量摂取が良いわけではない?

体に良さそうだから何でも沢山摂ればよいわけではありません。医師としては、3ヵ月~6ヵ月ごとの血液検査によって量を判断したいとのことでした。
特に、有害ミネラルを排出するキレート剤は、有用ミネラルも共に排出する傾向にあるという理由で、使用には慎重になるとのことでした。腸内環境がそこまで乱れていない場合も、腸内洗浄効果があるような治療に対して同様に慎重になるとのことです。

摂取期間

分子整合栄養医学の提唱者である、エイブラハム・ホッファー氏によると、ナイアシン(ビタミンB3)の摂取について自身の著書のなかで「その効果を期待する限りはずっと」と回答しています。つまり、「一生」という事です。
日本の医師の多くはそこまでの長期間は考えていないようです。当方が直接伺っている医師は、3年(36ヵ月)程度は続けてみて安定した効果が出るか見て欲しいとのことでした。金銭的な問題もあるためか、それが適切かどうかは別として、効果を確認してかなり早い段階で摂取をやめる方が多いそうです。
「一生飲み続けるべき」という発言をしたエイブラハム・ホッファー氏ですら、自身の比較研究レポートで4ヵ月ごとに効果測定をしていることから、4ヵ月間が効果測定の目安と考えることが出来るように思います。

サプリメントの体験談

現代は、土壌の影響かもしれませんが、以前よりも栄養素に乏しい食品が多く流通しているようで、医師が見立てたサプリメントの摂取は、確かにある程度の効果はあるように思います。
おおむね健康体の場合、飲めば24時間以内に何らかの改善効果として、「風邪をひかずにすんだ」「疲れが取れた」などの自覚ができます。摂取期間も2~3日で十分です。
多少の不調がある場合については1~2ヵ月程度飲み続けることで、「精神的に落ち着く」、「建設的思考ができる」といった効果が確認出来ています。
具体的な医療機関名とサプリメント名についてはここでは控えます。知りたい方は個別にお尋ねください。

サプリメントについての私見

当方は、ある医師(当方は直接の面識はない)から得た情報を根拠に、いわゆる「メガビタミン療法」に関しては、慎重に考えています。
おそらく、摂取量が多いまたは摂取期間が長い場合に、「ある種のサプリメント依存」が発生し、天然物からのビタミンやミネラルの摂取が困難な傾向を併発するのではないかと仮説を立てています。
本仮説を実際に医療機関に照会したところ、そのような傾向は医学的には確認できていないとのことでした。
とはいえ、ある関西地方の医師が、なるべく天然のハーブや食品から摂取するように指導をしていることを確認していますので、あながち的外れでもないように感じてます。ただし、当該医師については別の観点から検討を要するべき事項があります。
サプリメントについて、現実的に安全と思われるラインは、「頓服(症状のひどいときに薬を飲むこと)」として使用することのように思います。
不思議なことに、実際に体内のバランスが安定してくると、過剰な部分が排出されたり、なんとなく飲むのを忘れたりして、そのようになるように感じています。