脳科学編


番外1.幼児教室と小学校受験とHQ(体験談あり)

2024年6月7日

当方は、もう何十年も前ですが、いわゆる小学校受験の幼児教室(首都圏では有名なJ)に1年程通っていた経験があります。もちろんDVD教材やYouTubeなどはない時代のお話です。また、当時からフラッシュカードはありましたが、大手受験塾(S会、K会、R会など)はどこも使用していなかったと思います。
本稿では、未就学児の勉強の形の1つである「小学校受験対策として幼児教室が行っている勉強」の詳細を述べます。数々のブログ等を拝見しましたが、この業界は、意外にも長年変わっていないようでしたので、参考になると思います。
また、当方は縁故(すでに兄弟姉妹が在籍している、親の出身校である等を含め)が無しの状態での参戦なので、その点も参考になると思います。

日本を代表する脳科学者の見解

縁あって、脳科学者の澤口俊之氏とお話する機会がありましたので、小学校受験対策的な勉強について直接お伺いしました。期間についてのみ「1年は長すぎる」との見解でした。
通常の幼児教室は、1年以上の在籍を想定していますので、HQを上げたい等のご希望がある場合には、幼児教室を訪ねるよりも、澤口俊之氏の書籍を読んで推測するか、直接コンタクトをお取りになることをおすすめします。

お受験科目①制作

ぬりえ、切り絵が該当します。
クレヨンを使ったぬりえは、周囲の輪郭を強めの筆圧でとってから、中を薄く塗るという「お受験的お作法」があります。
切り絵は工作の一部として、指定パーツをハサミで切り取らせたり、手でちぎらせたりします。ハサミの方が難易度は低いです。
発達が正常領域であるか見ています。

お受験科目②絵画

大抵、テーマが指定されます。「夏休みの思い出」、「好きなもの」等。
この分野は、指導すれば一定水準までは上がる可能性があります。
担当する指導者によっては、芸術的センスは全く磨かれずに、画一的な絵を描くようになって個性が無くなるかもしれません。通常の私立小学校では商業イラスト的な絵が好まれているためです。
今までの経験上、芸術系の大学出身者は、子どもの個性を生かすことを考えて指導しますが、教育系の大学出身者は、「手本」を示してその通りに指導する傾向が強いです。
総合知能の高さと精神的な安定度を見ているようです。
ただし、「東京都港区の天現寺付近にある有名大学附属名門私立小学校」では、この限りではありませんのでご注意ください。

お受験科目③数字の記憶

1対1の口頭試問です。「5・8・6・4」などどテスターが数字を言い、順番に言う、逆さに言う、1つ飛びに言う等の試験です。
実は、『澤口先生の数字カード』に最も近いのはこれである。
当方は当時、目の前の空間に数字を思い描いてテスターの指定通りに読み上げていましたが、澤口氏本人に確認したところ、数字カードでこのやり方をやると、ワーキングメモリーが鍛えられないので良くないとのことでした。
ワーキングメモリー指標と処理速度指標を見ているようです。

お受験科目④おはなしの記憶

2分程度の話が放送され、5問程度の質問の答えるというもの。
「今日は、晴れです。ウサギさんとクマさんが遠足に・・・」というお話の場合、「第1問 今日の天気は何ですか?」「第2問 ウサギさんが持ってきた弁当は何ですか?」といった問いが想定されます。
未就学児は文字が書けない前提ですので、質問文も口頭か放送され、紙に描かれたいくつかの絵のうち回答に該当するものに指定筆記用具の指定色で指定の記号を付します(赤いクレヨンで△印など)。
当方は当時、登場人物を指に割り当て(親指をウサギ、人差し指をクマ等)、行動やアイテムを記憶していましたが、もっと良い方法があるかもしれません。
この問題の対策は、これと言ってありません。問題をこなせば多少正答率が上がるように思えますが、大抵は頭打ちです。そしてなぜか幼児教室でも、正答率を上げるためのノウハウは伝えられませんでした。
ワーキングメモリー指標を見ているようです。問題数が多い場合は、処理速度指標も見ています。

お受験科目⑤立体物の構造認識

立方体の積み木でつくられたと思われる図形の絵があり、何個積み木を使っているか?というもの。
出題しない学校もあります。
対策は、縦に何個積まれているかを考えながらカウントすることです。
幼児教室では、実物を積んで考えるようと指導していました。
知覚推理指標を見ているようです。問題数が多い場合は、処理速度指標も見ています。

お受験科目⑥図形推理

「使わないパズルのパーツはどれ?」「(ある法則にしたがって図形が並んでおり)次のマスはどの図形?」といったもの。
GAB、CABという就職試験がそのままです。
問題をこなすと多少正答率が上がるように思えますが、大抵は頭打ちです。幼児教室でも、問題を何回もやらせるだけでした。
知覚推理指標を見ているようです。問題数が多い場合は、処理速度指標も見ています。

お受験科目⑦状況推理

「誰が1番重い?」「観覧車が右に1席回るとだれが1番上にくる?」といったもの。
重さは、シーソーに1つずつの物体が載っており、複数のシーソーから総合してどれが最も重いかを推理して答えます。観覧車については、回っているところを想像します。
対策は、実物を使ってイメージすることなのですが、なかなか難しいようです。問題をこなしても正答率はあまり上がりませんが、急にできる場合もあるようで、月齢(あるいは知能指数)に依存すると考えている指導者もいるようです。幼児教室の中には、実物模型で説明しているところもあります。
知覚推理指標を見ているようです。問題数が多い場合は、処理速度指標も見ています。

お受験科目⑧指示運動

「指示行動」とも言われるもので、基本的には運動神経は不要ですが、縄跳び、鉄棒、でんぐり返し、ドリブル等が出来ることが前提となります。
本番では、「縄跳びで5回飛んでから、平均台を渡り、赤いコーンを回って戻ってきてください。」という感じです。
正常域の発達で健康体かどうかを見ています。
ただし、「東京都港区の天現寺付近にある有名大学附属名門私立小学校」と「大学は茨城県にある旧師範学校附属国立小学校」はその限りではありませんのでご注意ください。

お受験科目⑨面接(口頭試問)

「今日はどうやってきましたか?」「好きな遊びはなんですか?」という感じの想定問答を練習します。面接は、親の教育方針と志望度、本人の知能と発達が正常領域かを学校長が最終的に確認する意味合いです。
これは、本番の話ですが、当方のときは、外国語の絵本を渡され、「お話を作ってください。」という口頭試問がありました。これは幼児教室では予想しきれていませんでした。
基本的には、言語理解指標を見ていますが、意外にもこの分野は、幼児教室で対策してもうまくいかないケースがあるようです。
IQだけではなく、澤口氏のいう所のHQを見ているようにも思えます。「正常領域のIQとHQ」に加えて、OEがあるとわかると歓迎されるように思います。
面接がない学校がある一方、面接と自由遊びだけという学校もあります。

お受験科目⑩自由遊び

IQだけではなく、澤口氏のいう所のHQを見ているようにも思えます。
トラブルメーカーでないかどうか、トラブルに巻き込まれてもリカバーできるか見られています。
当方は、試験当日に意地悪な同級生にはめられそうになりましたが、危険を察知しリカバーした経験があります。当方は合格し、彼女は残念な結果となりました。
5~6歳児であっても、「他人を蹴落とそうとするような知恵の回るお子さん」が小学校受験に参戦しています。こういった方は、高知能ですがギフテッドではないのでしょう。
彼女はその後、別の名門校に進んだと聞きました。この学校は当方の母校の姉妹校でしたが、あれから数十年、一度もお会いしておりません。彼女も当方には合わせる顔がないのかもしれません。
自由遊びがない学校もあります。

私立小学校とギフテッド

WISCで言うところの指標をまんべんなくカバーしている私立小学校の入試ですが、確かに、私立小学校にいるタイプは、能力のばらつきがない人ばかりでした。
現実では、指標の総合点が高い人から順に合格となるため、名門校とされる人気のある学校(受験者が多い)ほど比較的指標のバランスが良い人が相対的に多く在籍しているということになります。
逆に、ペーパー試験と運動試験を実施せず、自由遊びや面接のみを実施している一部の私立小学校には、指標の凸凹のある人が相対的に多く在籍していると思われます(当該小学校が脳力凸凹に寛容かどうかは別として)。
澤口氏の教育相談での情報ですが、脳力凸凹のため、公立校だと普通学級に在籍不可であったため(公立校は、健康診断時に振り分けをします)、普通学級に受け入れ可能な私立小学校に入学したというケースもあるようだとのことでした。
具体的な首都圏の学校名は当方もいくつか思い浮かびますが、小学校側が公式にしていませんので、ここでは述べません。詳細を知りたい方は別途コンタクトをお願いします。
県内では名門校扱いの母校ですが、ギフテッドらしき人が若干名、在籍していたように記憶しています。具体例はまた別の機会にて。