脳科学編


1.HQ論

2024年4月12日

HQ(Humanity Quotient)理論とは、脳科学者の澤口俊之氏が提唱している理論です。
人間らしく生きるには、前頭葉の発達が不可欠という内容です。
知能指数が高くても、前頭葉が発達していない場合は、生活困難を抱えることになるとのことです。

8歳が臨界年齢

前頭葉の主な役割として、ワーキングメモリーを挙げています。
前頭葉の急激な発達は、霊長類の実験結果等から、人間年齢では8歳相当までとされており、そこまでに何をやり、何をやらないかが重要とのことです。

やるべきこと・やらないべきこと

やるべきことは、昭和時代ではごく普通とされていた日常生活。
やらないべきことは、テレビ漬け・ゲーム漬け・インターネット漬け・タブレット漬け・フラッシュカード。
教育コンテンツであってもタブレットは不可とのことです。
テレビを見る場合は、1日2時間までで、バラエティー番組にするようにのこと。
理由は、バラエティー番組が最も自然なコミュニケーションを撮影しているとのことでしたが、編集やデフォルメ(アニメ)の少なさも重要そうなので、昨今のYouTuber並みの民放のバラエティー番組は非該当と考えるべきでしょう。
NHKか、民放だとグルメ番組あたりが何とか基準を満たしていそうです。
出演者が普通にしゃべっている様子を映したものが良いようです。
子供向けアニメはあまり良くないとのことです。

疑似発達障害

HQ論で特筆すべきは、発達障害とされているお子さんのほとんどについて、発達障害に似たような症状が出ているだけではないか、としているところです。
つまり、環境を整えることで、定型発達領域に回復すると言っています。
例えば、『フラッシュカード』は、脳の発達に対する悪影響が強く、やめることで定型発達領域に回復する例もあるとのことです。

創造性遺伝子

各種発達・神経・精神系のトラブルを起こしやすい遺伝子が、現在まで生き延びている理由として、同遺伝子が創造性遺伝子とほぼ表裏一体の関係であるためとしています。
例えば発達障害的症状についてだけを見ても、同じ環境下でも、発達障害的症状が出るお子さんと出ないお子さんがいるわけで、そもそも遺伝子レベルで違うという主張にはうなずけます。
HQ論では、社会的な偉人・天才の親戚に精神系トラブルを持った方がいることから、同じ遺伝子配列が作用している可能性を示唆しています。
ただし、原因遺伝子配列は複数あるとし、具体的には特定していません。
当サイトでは、創造性遺伝子は、ギフテッドOEを発現させるための要件の1つと考えています。

幼児の知的障害は改善する可能性がある

HQ論では、幼児の知的障害は、独立区分されていません。
理由は、8歳までであれば、前頭葉にとってふさわしい環境下を構築することで、知能上昇が可能なためだからと思われます。
知能上昇方法として、ピアノまたはそろばんの習い事をさせる、健常児と共に過ごし、3人以上でちょっと危険な遊びをさせるのが良いとのことです。
両手指からの左右対称な刺激と、ワーキングメモリーを使う動作が、前頭葉の発達に良く、知能を上げるようです。
学習面で最も優先させるべきことは「数の概念」の習得であり、数がわからないのに文字を教えるべきではないとしてます。理由は、文字に比べて数は、人類の進化的により原始的な脳機能で認知できるからだということです。
HQ理論に従ったワーキングメモリーの訓練方法があるのですが、4歳未満の実施および長期的(2~3ヵ月以上)に行うことは禁忌とのことです。
澤口先生が提唱するワーキングメモリー訓練方法の具体的なメソッドは、非公開です。対象児によってやり方が異なるため、氏自身が教育相談として受け付け、対応しているようです。
当サイトでは、ワーキングメモリーの訓練法に最も似ていると思われるものについて、国立私立小学校の入試問題(ペーパー)と考えております。

療育は受けない方が良い?

澤口氏は、いわゆる「療育」には消極的です。脳が常に他人の脳に干渉しあっていることが理由と思われます。
療育の場にいる非定型発達児の脳と相互干渉することで、非定型発達が固定化すると暗示するような表現が見られます。
疑似発達障害の場合は、環境からの悪影響がなければ定型発達領域であると考えるので、出来るだけ通常の環境下(定型発達児がいる環境、通常の幼稚園保育園、普通学級、学童保育)が良いという結論になるのだと思われます。

HQ論の対象外

脳の器質的なものを原因とする発達障害(脳の欠損や病気等)については、論点対象ではありませんので、ご注意ください。