カイロプラクティック編


1.ブレインバランスプログラム(左脳と右脳を連携させる)

2024年6月5日

ブレインバランスプログラムとは

ブレインバランスプログラムとは、ロバート・メリロ氏が提唱する脳発達関連のプログラムです。
カイロプラクティックの施術あるいは運動、ストレッチ療法として提供されます。

右脳と左脳の連携

ブレインバランスプログラムでは、特に若年層の日常で起こる様々な発達上のあるいは精神的なトラブルは、右脳と左脳のdisconnection(非連携)により起こっていると考えています。
右脳と左脳は、協働連携していることを前提とし、どちらか一方あるいはどこか一部の機能が低下している場合、両者の連携は崩れ、より「機能的に優れた箇所だけが、強く働く」ようになるといいます。

脳機能はオーケストラの演奏と似ている

左右の脳の連携は、まるでオーケストラの演奏のようであるとたとえています。
問題があるのは、第一ヴァイオリンかもしれません。あるいはパーカッションか、トロンボーンかもしれない。それとも複数のパートにトラブルがあるのかもしれません。
トラブルのある箇所は早々に切られ、トラブルのない箇所のみで勝手に動くのが脳だと述べます。
オーケストラのつもりが勝手に吹奏楽になっていたり、バイオリン独奏になっていたり。指揮者だけが指揮棒を振っている状態になることもあります。
連携不能箇所によって現れる症状は異なる、と述べます。

右脳と左脳のバランスが崩れるサイン

ロバート・メリロ氏を訪ねる人のほとんどは、右脳の発達すべき0歳~2歳の間に何らかのきっかけ(ちょっとした転倒、ひどい風邪等)があり、発達上の支障が生じ、右脳が十分発達しないまま、左脳の発達時期を迎えている状態であったと述べています。
書籍には、コミュニケーションそのものが難しいようなお子さんが改善したケースが多々挙げられていますが、一見普通の成長のように見えて、発達のバランスが悪い場合が多々存在することが示唆されています。
例えば、
・ずりバイ、ハイハイをほとんどしなかった
・1歳2ヵ月までに歩かなかった
・言葉の習得が早く、よくしゃべる
この条件にあてはまる2歳くらいのお子さんは、日本では珍しくないように思います。むしろ、言葉が早いことで周囲からは期待が寄せられているかもしれません。
日本ではこのようなお子さんは、母子健康手帳においても「標準的な成長の範囲」とみなされていますが、ロバート・メリロ氏によれば、「すでに右脳の発達が遅延し、左脳の発達のみが促進している状態である」とのことです。
なお、未熟児の場合は、正産期で出産したものと仮定して計算すべきとのことです。

OEとの関連性~凸を伸ばしてはいけない

ブレインバランスプログラムで最も特筆すべきことは、「発達が著しいからと言って、凸の能力を伸ばしてはいけない」としているところです。凸の能力を伸ばすことは、ますます左右の脳の発達の差を広げ、結果として左右の脳の連携をも断つことになり、トータルで見ると「逆効果」であると述べます。
日本で行われているほとんどの「ギフテッド的英才教育」は、凸を伸ばすことに特化しているように見えますので、ブレインバランスプログラムとは真逆の方針となります。
他方、「特別支援」や「療育」は、多少の凹は伸ばそうとしますが、それらは心理的な(文学的あるいは哲学的)方法に終始し、「ギフテッド2Eと診断」された場合や、伸ばしようがないと判断された場合はその限りではなく、多くは現状を受容して環境を変えるアプローチに終始しているように見えますので、これまたブレインバランスプログラムとは真逆の方針となります。

脳内発達の凸凹を改善すると高水準で安定する

ブレインバランスプログラムでは、未発達の箇所(脳内発達の凹)を発達させる方法として、「その時期に行われるべき動作をさかのぼってやり直す」という方式を提唱しています。
未発達の箇所がある場合、そこに関わる「原始反射が残っている」と述べます。原始反射やそれに近い動きや経験を繰り返させることで、原始反射はなくなり、発達が促進されるとしています。具体的にはこの部分をカイロプラクティックが担っています。
従来凹であった部分が発達することにより、従来凸であった部分の水準まで追いつき、左右の脳の再連携がなされるとのことです。理論上は、能力凸の高水準で全体の発達が安定することになります。

17歳が精神発達の臨界期

ブレインバランスプログラムでは、17歳までに精神構造が決まるとしています。
左右の脳の連携に起因する精神構造は、17歳までに固定することから、万一それまでに精神的な疾患(統合失調症、精神分裂症、鬱病等)を発症してしまうと、「精神的な疾患のある脳」として一生固定されると示唆する記述がみられます。
したがって17歳までは、精神的な疾患にかからせないために、左右の脳を連携させ、凹の発達を促すべきとしています。